『器用貧乏』ということばがあります。
意味は、なまじ器用に色々こなせるために多くのことに手を出してしまい(頼まれてしまい)、1つのことが成功しない人のことを表すことばです。
実は私も『器用貧乏』だと、人から言われたことがあります。自分で色々試してやってみたいタイプの人種なので、1度始めるとある程度はできます。
以前勤めいていた会社では、他の人があまり手を出しづらい
- インターネットの接続
- パソコンが壊れたときに部品の交換修理
- 少し特殊なソフトを使った分析作業
- あまり人が行っていない現場へ調査
などの仕事もしていました。
会社としては何でも色々やってくれる便利な人材かもしれませんが、通常の仕事の上に積み上がってしまうので、本人にしてはちょっと負担になるときもありました。
さて、これは私の仕事の話ですが、あなたの商品・サービスでは『器用貧乏』な説明をしていませんか?
「あれもできます!これもできます!」と言っていると、特徴が無くなってライバルの商品・サービスに埋もれて見つかりにくくなってしまいます。
今回の記事では、ライバルとの差別化を図り、あなたの商品・サービスを目立たせる方法についてお知らせいたします。
重要なのはUSP!
かつて、ホームページのデザインやセンスの良いアイコンを考えてくれるデザイナーさんを探すのはとても苦労しました。自分のセンスと合う人がわからない、そもそもデザイナーさんがどこにいるのかさえわからない状態だったのです。
しかし今は、インターネット上で簡単に探せるようになりました。本職のデザイナーさんから、主婦の片手間デザイナーさんまで、スキルと予算に合わせて色々選べます。それどころか、無料ツールでデザインまでできる様になって、自分でも少しであればこなせる時代になっています。
このようになってしまった場合、デザイナーさんは自分を目立たせないと、埋もれてしまいます。どうすれば他との差別化ができて、光り輝くことができるのでしょうか?
この差別化を考えて押し出す事を、マーケティング用語でUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)と言います。
よく見かける広告では、USPをあまり使わずに「(他より)良い品ですよ、安いですよ!」と言っているだけです。これでは誰でも言えることなので、差別化ができません。
「安さはUSPではないの?」と思うかもしれませんが、安くするのは誰でもできる上に、自分を苦しめるだけなので、あまり良いUSPとは言えません。本当の『ユニークさ』はライバルと競争しなくて良くなるものです。
説明だけではわかりにくいと思いますので、1つ例をあげます。
整体院のUSP例
最近、整体院や整骨院がたくさんできていますが、広告を見ると値段や施術の上手さくらいしかPRしていません。これだとみんなやっているPRなので、他よりも上に抜きん出るのは難しいでしょう。
このような場合はどうすれば良いのでしょうか?
一例として、『肩こり』専門の整体院としてPRすることをすすめます。本当は背中も腰も、フトモモもできるのですが、一番得意な『肩こり』を専門に押し出します。
そうすると肩こりに悩んでいた人が、一斉にこの整体院を目指すようになります。その場合、他の整体院と比較されることはほぼありません。来てくれた人が肩こり解消を実感してくれれば、リピーターになってくれて、さらに友達も紹介してくれるかもしれません。
あなたも困ったり悩んだりした時の事を思い出して欲しいのですが、困っている時はだいたい1つの事に困っている人が多いです。そのため、その困りごとを解消してくれる場所を見つければ、そこのファン(信頼関係)になるはずです。
この話をすると、
「絞り込んだら、お客さんが減るのでは?」
と、思う人もいるのですが、それは間違いです。
むしろ決め手が見えなくなってしまい、それで上手く行っていないことの方が多いです。
整体院の例で言えば、湿布の効能によくある『関節痛、ねんざ、筋肉痛、肩こり、腰痛』のどれかを専門にすれば、患者の約5分の1の気を引くことができるわけです。整体院の商圏の1/5が来てくれたら、おそらく満員御礼でしょう。「中指の筋肉痛専門」みたいな細かすぎてピンとこない(つまり患者がいない)USPでない限り、しっかりと絞り込むべきです。
また絞り込むことで、売る側にもメリットが出てきます。ターゲットとしてねらうお客さん(患者さん)が絞られるので、セールスコピーが書きやすくなり、広告を絞り込んで出す(セグメントと言います)ことが可能です。
悩んでいる、興味がある人に合わせたメッセージを出せるので、反応率も上がりますし、ほとんど費用がかかりません。
もし、来てくれた患者さんから追加の要望があれば、腰も背中も施術すれば良いわけです。まずは細かく区切って、患者さんを集めた後で徐々に広げれば負担も大きくありません。
USPの見つけかた
USPを見つけるときは、「業界で満たされていないニーズを満たす!」という視点をもって探すことです。
USPになりやすいポイントを以下にあげます。
- 価格:業界標準よりも高いか?安いか?
- サービス面:スピード早い?遅い?、保証・サポート・カスタマーの質はどう?
- ラインナップ:多い?少ない?
- 専門性:絞る?広くする?
- 利便性:簡単?手間がかかる?
- 最高級品:最高級の素材、手間ひまなど
ただし、注意点がいくつかあります。
- 約束できるもの、実行できるものにする:できないと信頼をそこねます。
- 安さUSPはオススメしない:安さを押し出すと、薄利多売になり、そのときしか来ない人ばかりになります。簡単にできるUSPですが、長い目で見るとつらくなります。
有名企業のUSP
USPを押し出して実際に事業拡大した企業が使った例を下にあげます。有名企業の例をあげますので、あなたも聞いたことがあると思います。
・ドミノピザ:「30分以内にできたてアツアツピザをお届け!」おいしさよりも早さ重視のお客さんに絞ったUSPです。
・QBカット:「10分1000円でカット!」とにかく早く!安く!と、立ち食いそばのような散髪を求めているお客さんに絞っています。
・ダイソン:「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」紙パック掃除機を使っている人達の「目詰まりで吸引力が落ちる」という悩みを解決するUSPです。ダイソンは掃除機の『吸い込む』『風を出す』技術を活かして、扇風機やドライヤー業界にも進出しています。
あなたの商品・サービスのイメージがパッとしない、イマイチUSPがないと思ったら、「小さなお山の大将」になったつもりで絞り込んでみて下さい。地域で一番、オンリーワンならすぐに出せるのではないでしょうか。
別の例をあげると、大ヒットしている『おとなのふりかけ』というふりかけがあります。実はこのUSP、絞っているようで絞っていないUSPなのです。なぜかというと、子供がふりかけを買うことはほとんどありません。お金をだしてふりかけを買うのは大人だからです。『おとなのふりかけ』といいながら、子供にも好かれる味がたくさんあります。
このように、他が言っていないことを明言するだけでもUSPになります。あなたもぜひ探してみてくださいね。
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