全滅からの再発見

清水です。

1986年に全滅したと思われた昆虫が
今年、再発見されました。

このようなニュースを聞くと、

「珍しい昆虫が生きのびていたのか！」

と、嬉しい気持ちに
なるかもしれません。

でも、
今回の話題はちょっと違います。

いて欲しくない害虫が
再発見されてしまったんです。

その昆虫名は、
『ミカンコミバエ』
といいます。

もともとは日本にいなかった、
東南アジア原産の外来生物で、
ほとんどの農作物に寄生して、
被害を与えます。

でも、日本では20世紀に、
このミカンコミバエの
防除（防御と駆除）に取り組み、
1986年に根絶したんです。

どんなことをしたかというと、

１つは、オスのハエをおびき寄せて殺虫する
誘殺板を使ったトラップ。
（誘殺という漢字が強烈です）

もう１つは、人工的に不妊化させたハエを
大量に放出して、子孫をつくらせない方法。

こちらの方法では、約531億匹のハエを
放ったとのことです（費用は169.6億円）。

とんでもない費用と労力が投入されました。

その対策があったおかげで、
沖縄や南西諸島の果物（シークヮーサーやマンゴーなど）
が輸送できるようになっているんです。

そんな『根絶』された
ミカンコミバエですが、
たまに見つかってしまうことがあります。

東南アジア方面からの風に乗って、
日本までたどり着いてしまうんです。

ミカンコミバエが
たくさん発見されてしまうと、
農作物が出荷停止になるため、
ものすごいダメージとなります。

現に2015年には、奄美大島で大量に確認されて、
島外出荷が7ヶ月間制限されました。

今年は、九州各地で100匹以上が確認されています。

これが偶然なのか、暑さのせいなのか、
よくわかりませんが、ちょっと恐さを感じますね。

また、このような話でいつも思うのですが、
「いないことの証明」は非常に困難です。

「いない」証拠を出せないので、
『悪魔の証明』とも言われているくらいです。

このミカンコミバエの場合は、
数年間確認されなければ、
それで『根絶』したと見なしているようです。

でも、根絶していることを確認するために、
毎年チェックは欠かせません。

いないことを証明するために、
チェックし続けているんです。

関係する皆さんの苦労に、
本当に頭が下がります。

今回は、私の好きな環境の話に
なってしまいましたが、
言葉の使い方に興味を引かれました。

『根絶』と『絶滅』

どちらも生き物が
いなくなることですが、

害虫なのか、希少な虫なのかで
人の考えや行動がまったく異なります。

こんな風に、
見方や立場が変わると、
世の中の見え方が変わりますよね。

また、他にもそんな例を見つけたら、
紹介します！

最後まで読んでいただき、
ありがとうございます！

セールスコピーライター　清水 龍

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