清水です。
『大辞林』という、国語辞典を知っていますか?
この国語辞典は三省堂が発行している辞書で、
昨年、13年ぶりに改訂しました。
その改訂の際に、話題の若者言葉が収録されました。
その言葉とは、
「エモい」
です。
SNSなどで見かける言葉なので、
なんとなく意味はわかると思いますが、
少し真面目に解説します。
大辞林にある意味は、
「(主に若者言葉で)心に響く。感動的である」
となっています。
「エモい」の語源は、
エモーション(emotion:感情)を短くして
使っているのでしょうね。
心を動かされたときに「エモい」が使えるので、
美しい、感激する、キレイ、かわいい、懐かしい、
など、多くの表現をひと言で表せます。
平成から流行っている「ヤバい」と同じような
感じですね。
「エモい」は「ヤバい」よりも若干、
良いことよりに使える単語の印象です。
使い勝手の良い単語は、ひと言言えば
良いだけなので、つい使ってしまうかも
しれませんが、細かいニュアンスは
伝わりません。
数人で同じ風景を見て
みんなで「エモいねー!」と言っても、
美しさを感じる人、かわいさを感じる人、
人によっては懐かしさを感じているんです。
それらをひと言で表してしまうと、
一見、共感しているようですが、
実はお互いの感情は違っています。
言い方は悪いですが、
『薄っぺらい共感』になってしまっているんです。
もちろん、ほかの言い方をわかった上で、
「エモい」「ヤバい」をつかうのは
かまわないのですが、多用すると、
語彙力(ごいりょく)が落ちてきます。
「感情にあった適切な言葉を考えなくなる」と
言っても良いでしょう。
言葉が少なくなると、
感情や思考が単純になります。
人は言葉で物ごとを考えているからです。
感情や思考が単純になると、
コミュニケーションや感情のコントロールが
しづらくなります。
知性が落ちると言っても良いでしょう。
知性が落ちると、理解力や判断力も
低下するため、ビジネスのチャンスを
つかみづらくなります。
ちょっと言い過ぎでしょうか?
でも、語彙力が多くなると、
年収が上がることは、
2016年のベネッセの調査で
明らかになっています。
私は文章を書くことで収入につなげているので
言葉の使い方について辛口意見になってしまいますが、
言葉は文化や知性の基本になっています。
つい『使い勝手の良い感情表現』をしてしまうときは、
意図的に別の表現もしてみては
どうでしょうか?
追伸:
ちなみに、今回あげたような
使い勝手の良い感情表現は、
平安時代から見ることができます。
それは、
「あはれ(あわれ)」と「をかし(おかし)」
です。
源氏物語や枕草子で多用されているのを
見たことがある人もいるでしょう。
今回の話題、最近の事かと思いきや、
昔から日本人は、使い勝手の良い単語を
使っていたというのも、
ちょっとおもしろいですね(いとをかし)。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございます!
明日は(今日できなかった)
4つのタイプ分けの話題を
考えています。
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